ECサイトを運営する場合、商品の受注から発送までの業務はECサイト運営者の手に委ねられます。そのため、EC運営者には高い在庫管理能力が求められます。
この記事ではECサイト運営者に関わらず、在庫管理を行う事業者が直面する課題である棚卸差異についてご紹介致します。
棚卸差異とは?

棚卸差異とは、自社が保有している在庫の金額を計算する棚卸しの際に、帳簿に記載されている在庫数と実際に倉庫内にある在庫数に差異があることを指します。
数多くの部品を取り扱う製造業の現場やスーパーなどの棚卸しの際によく起こるトラブルです。
棚卸差異の影響
「(実際の在庫数-帳簿上の在庫数)÷帳簿上の在庫数」を表した棚卸差異率という数値があります。
この棚卸差異数が10%を超えた際、場合によっては営業利益が2%程度変化します。
棚卸差異は単なる「在庫数のズレ」ではありません。利益など経営上の数値にも影響するため、早めの原因究明が重要です。
そのため、棚卸差異が発生している企業は速やかにその原因を特定し、改善する必要があるでしょう。
棚卸差損・棚卸差益

棚卸差異には2つの種類があり、棚卸差異率がプラスの数字の場合を「棚卸差益」、棚卸差異がマイナスの数字の場合を「棚卸差損」といいます。
例えば、帳簿上に記載されている在庫数が100個、実際の倉庫にある在庫数が95個だったとします。この場合は棚卸差異率は-5%となり、棚卸差損が発生しているといえます。
また、棚卸しをする際にこの棚卸差損と棚卸差益を混合しないように、商品や製品ごとに分けて計算することが求められます。
棚卸誤差率の許容範囲とは?

棚卸差異率の許容範囲は一般的に5%までとされています。
もちろん、棚卸差異は少なければ少ない方がいいです。棚卸差異が5%程度ある場合も改善をする必要があります。
では棚卸差異を無くすためには、具体的にどのような対策が必要なのでしょうか。
棚卸差異が多い場合に注意すべきポイント
棚卸差異が発生している場合は、速やかな原因の究明と改善が求められます。
棚卸差異が発生している際は、一般的に以下のようなミスが考えられます。
・入力に関するミス
・伝票処理漏れに関するミス
・現品管理に関するミス
・仕入れ先のミス
では上記のミスが発覚した際は、どのような対応が求められるのでしょうか。項目ごとに解説致します。
入力に関するミスを減らす
棚卸差異が発生する原因としてまず挙げられるのが、入力に関するミスです。特に入力場所を間違えるミスは多いため注意が必要です。
ミスを起こさないために管理シートを作ることはもちろんのこと、ダブルチェックなど、ミスが起こることを前提とした管理体制が必要となってきます。
また、そもそも入力を忘れてしまうというケースもあります。
商品や製品の入荷時には、入力を後回しにしないようなルールを設定するなどの工夫が求められます。
「あとで入力しよう」とすると、入力漏れにつながりやすくなります。入荷・出荷と同時に記録する運用ルールを作るのがおすすめです。
伝票処理漏れに関するミスを減らす
伝票処理漏れに関するミスも、在庫を管理する際によく発生するミスといえるでしょう。
入力されない伝票が発生しないように、伝票処理には管理番号を振り、ダブルチェックを行うといいでしょう。
また、みなし出庫を行っている場合は棚卸差異が高い確率で発生してしまいます。
上述致しました通り、棚卸誤差が発生しているということは、営業利益などの数値にも誤差が発生してしまいます。
伝票処理は倉庫内の在庫がきちんと管理されているかを知る上でも重要な作業工程になるので、正確に行う必要があるでしょう。
伝票と実際の商品の動きがズレると、帳簿上の在庫と実在庫もズレてしまいます。伝票処理まで含めて在庫管理と考えることが大切です。
現品管理に関するミスを減らす
管理する商品や製品が多い場合は、現品管理に関してどうしてもミスが増えてしまいます。
例えば、スーパーや製造業の現場では棚卸しの際に帳簿と数が合わないなどというトラブルが発生することが多いです。
そこで現品管理に関するミスが多い場合におすすめしたいのが、「3定管理」という管理方法です。
「3定管理」は製造業の現場ではよく取り入れられており、世界の自動車業界のトップであるトヨタをはじめ、多くの企業で導入されている管理方法です。
「3定管理」では、定められた位置に、定められた品物を、定められた量を置くことを徹底することでモノを管理します。
「どこに・何を・いくつ置くか」を明確にしておけば、商品の置き間違いや数え間違いを発見しやすくなります。
特に多くの商品や製品を管理する事業者には高い管理能力が求められます。
そのため、製造業の現場の基本といえる「3定管理」はもちろんのこと、「4定管理」や「5定管理」といった管理方法を積極的に取り入れてみてはいかがでしょうか。
仕入れ先のミスを減らす
棚卸差異の原因は会社内部にあるとは限りません。
仕入れ先から届いた商品の数量が、発注した個数と異なっているケースもあります。
そのため、商品を入荷した際は、発注した商品が指定通りの数あるかどうか確認することも重要です。
入荷時に数量を確認しておけば、後から差異が見つかった際にも「いつ・どこでズレたのか」を特定しやすくなります。
棚卸差異報告書の活用
棚卸差異は在庫管理をする際、ほぼ確実に発生します。
棚卸差異率を少しでも下げる方法として、棚卸し終了時には棚卸差異報告書を作成し、在庫管理について見直す必要があるでしょう。
加えて、倉庫管理、在庫管理に関して人員コストを割く余裕がない場合は、在庫管理業務をアウトソーシングすることも可能です。
また、近年では人為的ミスの削減や作業の効率化をするために、最新技術を駆使した自動倉庫なども登場しています。
棚卸差異の発生を防ぐために機械化を図ることも、有効な選択肢の一つです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。この記事では棚卸差異についてご紹介致しました。
棚卸差異は在庫管理を行う上ではほぼ確実に発生してしまいます。しかし、棚卸差異が発生すると、算出している営業利益にも誤差が生じます。
棚卸差異率の許容範囲は一般的に5%とされており、差異が大きい場合は早急に在庫管理の業務改善を進めることが重要です。
入力ミスや伝票処理漏れ、現品管理、仕入れ先からの入荷数量などを一つずつ確認し、棚卸差異が発生する原因を特定していきましょう。
この記事が在庫管理業務を改善する際に、お役に立てば幸いです。

