余剰管理と滞留在庫の違いとは?問題点や対処法、在庫管理における改善策についてまとめました

在庫管理においてよく耳にする『余剰在庫』と『潜在在庫』。
今回はこの2つの違いがどこにあるのかをまとめてみました。

余剰在庫とは

余剰在庫とは倉庫内に存在する売れ残りの在庫の事を指します。
ただ売れる見込みがある在庫のため在庫リスクにすぐ繋がるというわけではありませんが、
売れる見込みもなく抱えすぎると利益に直接的に関わってきてしまいます。

滞留在庫とは

例えば食品を扱っている場合に食品の賞味期限を迎えるものや、損傷などにより売れなくなってしまった様な売れない在庫を指します。
このような在庫は専門的に買い取ってくれる業者に引き渡したり処分をしたりなどの対処を行います。

余剰在庫と滞留在庫のデメリット

在庫管理をする上では、欠品や納期の心配などをしなくてはなりません。
そのため本来は必要のない量の在庫を確保してしまうというケースも少なくないのではないでしょうか。
これによって余分な在庫管理費用がかかってしまったり、余剰在庫により倉庫内のスペースを圧迫し作業効率を下げてしまう可能性があります。

キャッシュフロー、コスト面

売れないままの在庫に対して管理の必要が増えれば増えるほど、回収できない利益に対する
管理費は多くかかってきてしまいます。
また保管コスト、人件費、倉庫賃貸などが過剰にかかってしまう事でキャッシュフローの悪化が考えられます。

品質の低下

保管期間が長くかかればかかるほど、商品の品質は様々な要因で低下していってしまいます。
例えば、食品の場合は賞味期限によって、アパレルの場合はシーズンや流行りなどによって品質低下してしまうので、今後予想できる範囲なら、すぐに手放す事も考えなくてはいけません。

余剰在庫・滞留在庫を減らすためには?

正確な需要予測などの在庫管理によって減らす事ができますが、
全て自社で完結するにはかなりの手間や経験値が必要となってきます。
そんな時は適正な物流管理システムを有効的に導入・活用する事で適正在庫量をキープし続ける事ができます。余剰在庫・滞留在庫を販売する手段として以下の施策が挙げられます。

余剰在庫はまず値下げをしてみる

まだ需要を見込めるような商品であれば、まず値下げをしてみます。
値下げにより、予想以上に大きな利益につながったり、余剰在庫の一掃を実現する事ができます。
ブランド力やイメージなどにも関わってくるので、頻繁に行うのではなく、計画的に最適なタイミングで行いましょう。

アウトレットで売る

アウトレットにはシーズンが過ぎてしまったり、欠陥のある商品が売られています。
そのため余剰在庫や滞留在庫を売る場所として適している事がわかります。
購入者側としても少しの劣化やシーズンが過ぎてしまったような物だとしても、
通常より安く買えるという事はメリットであり、ここに大きな需要が存在しています。

業者に買取依頼をする

滞留在庫のような売れる可能性の低い在庫であったとしても、
取引先にこだわりを持たなければ、需要を見つける事ができます。
在庫処分業者はアウトレットセールほど利益を見込むことはできませんが、
行き場のなかった在庫をお金に変えることは可能です。

余剰在庫・滞留在庫を効率的に処分する

上記のように余剰在庫や滞留在庫をを売る方法はいくつかあり、検討次第では処分する必要がない場合もあります。
しかし、そのような方法に期待を抱きすぎ、
「いずれは売れる」と在庫を抱えてしまっていては結果は同じです。
勇気を持ちと先の利益率向上を考え処分すべき在庫を見極めましょう。
そして、このような余剰在庫や滞留在庫を作らないためにも、
入出庫とのタイミングと量を適切に見極める事で、適正在庫を保ちましょう。

適正在庫の計算方法

余剰在庫・滞留在庫を作らないための適正在庫数とはどのように算出すればいいのでしょうか。
基本的な考え方は以下の通りです。

安全在庫とは

安全在庫数はリスクの許容数とマッチします。
売れる可能性が確定されている在庫よりも少し多く確保し、
その在庫数が必要最低限の在庫の事を安全在庫と言います。
この安全在庫は需要変動などに対応できるように用意されていて、
欠品に対するリスクヘッジを最も効率的に行うために必要です。

サイクル在庫

サイクル在庫とは発注してから次の発注がかかるまでに消費される在庫量の2分の1の事です。
次の納入までの平均需要に対応するための在庫数を知る事ができます。
これら2つの算出結果を合算する事で適正在庫を求めます。

適正在庫の計算方法

適正在庫の計算方法は以下の通りです。

ここで出てくる総リードタイムとは発注と製造と出荷のリードタイムの合計で、
クッション量在庫とは需要の変動をカバーするための在庫量と経営戦略上の在庫量の合計です。
このように算出した適正在庫を上手く利用し、自社の成長へ繋げていきましょう。

業種別余剰在庫・滞留在庫の対処法

アパレルの場合

現在ファストファッション流行の影響で、アパレル業界では基本的に大量生産・大量消費社会となっております。
中国やベトナムを中心に海外の工場では安く大量の服を作り、同時に大量廃棄も生まれています。
そのため、企業持続性を向上するべく、大量に生産してもその半分は廃棄処分せざるを得ない状況の打開案を課題としています。
また、アパレル商品の在庫破棄には素材を無駄にするだけではなく、
廃棄時のCO2量も環境問題となっています。
ではこのような大量破棄量をどのようにすれば減らせるのでしょうか。

まずは予測です。
トレンドを経験からだけではなくや人工知能を使って予測し、その結果に基づくデザインの衣服を生産します。マンパワーだけでは足りなかった部分にも優秀なIT技術の力を借りる事によって、より正確な予測をする事ができ、結果排気処分量の減少にも繋げられます。

再販サービスの利用もおすすめです。
アウトレットなどをはじめとする再販サービスを利用する事も効果的です。
販売機会さえあれば回収できる可能性のある利益はしっかり回収するべきです。
ですが、再販サービスを利用する事で起きる懸念事項の一つとして、「ブランドイメージ」との相違が存在します。廃棄になるよりは上手な再販サービスの利用も検討してみてはいかがでしょうか。

そして余剰在庫の管理です。
こんな時も適切な在庫管理する事で、実店舗でもEC販売においても欠品による利益損失及び廃棄処分に関する心配も減っていきます。

食品の場合

食品業界もまた余剰在庫と滞留在庫に悩まされる業界です。
最も大きな課題は「賞味期限・消費期限との付き合い方」です。
例えば、売れる可能性のある商品だとしても商品数の多さなどにより余ってしまっている場合、
その商品が賞味期限ギリギリであったり、少しパッケージが傷付いてしまっているだけで、
廃棄処分の対象となってしまします。
食品の場合もまたこのように余剰在庫や滞留在庫にもう一度売れるチャンスを与えるべく、
業者に買い取ってもらう事をおすすめします。
特に滞留在庫の場合は売れる可能性が極めて低いので、
生産量の見直しとともに、思い切って在庫処分をする事が大切です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
在庫管理を行う上で頭を抱えてしまう余剰在庫と滞留在庫。
業種別にそれぞれ悩みはありますが、一貫して言えることは『売るチャンスを逃さない』そして『倉庫はいつでも最適な状況に』と言うことです。
利益につなげるためにもしっかり余剰在庫と滞留在庫を把握し、自社に適合する在庫管理へと改善していきましょう。

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