おすすめのアパレル物流代行は?どうやって選べばいい?と気になっていませんか。
結論、おすすめのアパレル物流代行は、下記のとおりです。
- mylogi株式会社
- ウルロジ
- 日立物流
- 株式会社スクロール360
- 富士ロジテック
- 株式会社オーティーエス
- 株式会社ロケーションズ
- BeeCruise株式会社
またアパレル物流を選ぶ際には、取り扱い実績や専門性、サービス範囲の広さ、システム連携・データ管理、コストと料金体系、柔軟性とサポート体制、そして倉庫の立地を確認することが重要です。
この記事ではアパレル物流の仕事内容や代行の費用、課題など詳しく解説していきます。
是非参考にしてくださいね。
アパレル物流代行の選び方
アパレル物流を選ぶ際には、下記のポイントを見ていきましょう。
- 取り扱い実績・専門性
- サービス範囲の広さ
- システム連携・データ管理
- コストと料金体系
- 柔軟性とサポート体制
- 倉庫の立地
それぞれ詳しく解説していきます。
取り扱い実績・専門性
アパレル物流代行を選ぶ際には、その会社がどれだけのアパレル商品を取り扱った経験を持ち、アパレル特有の課題に対応できるかが重要です。
以下の観点でチェックすると分かりやすいです。
豊富な取り扱い実績
過去に多くのアパレル商品を扱っている会社は、サイズ・カラー展開の多さや季節による商品入れ替えに慣れており、スムーズなオペレーションが可能です。
在庫管理・仕分けのノウハウ
アパレルはSKUが膨大になりやすいため、バーコード管理やWMS(倉庫管理システム)を活用して正確な在庫把握ができるかどうかが重要です。
返品・検品への対応力
サイズ違いや初期不良による返品が多い業界なので、検品体制や返品処理のスピード・正確性を持つ物流代行会社を選ぶと安心です。
アパレル特有の取り扱い技術
ハンガーでの保管や、シワを防ぐ梱包、デリケート素材への配慮など、アパレルならではのニーズに対応できるかどうかも見極めポイントです。
サービス範囲の広さ
アパレル物流代行を選ぶ際は、どこまで一貫して任せられるかを確認することが大切です。
アパレル業界ならではの特徴に対応できる幅広いサービス範囲を持つ会社を選ぶと、運営効率やブランド価値を高めることにつながります。
そのため下記の点をしっかり確認しましょう。
多品種・多サイズ管理への対応
アパレルはカラーやサイズの展開が多くSKUが膨大になりがちです。
そのため、正確な在庫管理やSKUごとの仕分けに強い物流代行会社を選ぶことが重要です。
シーズン・トレンド変動への柔軟性
シーズンごとの商品入れ替えや流行の変化にスピーディーに対応できる体制があるかがポイントです。
短期間で大量の商品が動く繁忙期にも対応できる物流代行は心強いパートナーになります。
ハンガー保管・特殊保管の可否
ドレスやスーツなどはハンガー保管が必要です。
またデリケート素材には温湿度管理や丁寧な取り扱いが欠かせないため、こうした専門的な保管方法に対応できるか確認が必要です。
返品・再販処理の体制
アパレルは返品率が高いため、返品された商品の検品・仕分け・再販可否の判断まで対応できる体制が重要です。
返品処理がスムーズであれば在庫の回転率を下げずにすみます。
ブランドイメージを意識した梱包
顧客の手元に届く最終形は梱包です。
シワを防ぐ包装や高級感のあるラッピング、ギフト対応など、ブランド体験を損なわないサービス範囲を持つ会社を選ぶと安心です。
システム連携・データ管理
アパレル物流代行を選ぶ際は、在庫や受注の変動が激しいアパレル業界の特性に対応できるシステム連携とデータ管理が欠かせません。
以下の5つは特に重要なポイントです。
在庫のリアルタイム可視化
カラーやサイズ展開が多いアパレルでは、SKU単位での正確な在庫把握が求められます。
リアルタイムで在庫数が更新される仕組みがあると、欠品や販売機会損失を防げます。
ECシステムとの連携
自社ECやモール、OMSなどとスムーズにAPI連携できるかがポイントです。
注文情報や出荷状況を自動で同期できれば、オペレーションの効率が大幅に向上します。
返品・再販データの管理
返品率の高いアパレルでは、返品理由や再販可否をデータで管理できる体制が必要です。
返品データを蓄積・分析することで、商品企画やサイズ展開の改善にもつながります。
セキュリティと権限管理
顧客情報や商品データを扱うため、システムの安全性は必須です。
アクセス権限を細かく設定でき、操作ログを残せる仕組みがあると安心です。
KPI可視化とレポーティング
出荷精度、リードタイム、返品率などのKPIを自動で可視化・レポートできる仕組みは、改善サイクルを回すうえで欠かせません。
ダッシュボードや定期レポートがあると、経営判断にも活かせます。
コストと料金体系
アパレル物流代行の費用は見た目の単価だけでなく、在庫特性や返品率、繁忙期の波動などによって実効コストが大きく変わります。
下記を参考に料金表の項目ごとの意味と、運用に乗せたときの総コストを理解して比較することが重要です。
基本料金設計(初期費用・固定費・従量課金)
初期設定費やアカウント構築費がどこまで含まれるのかを確認します。
月額の基本料や最低保証の有無は小規模月の損益に直結します。
入出庫や出荷件数に応じた従量課金の階段式テーブルは、自社の季節変動と合うかを必ず試算します。
保管料の考え方(ハンガー・畳み・温湿度)
保管料金がパレット、棚、ロケーション、立方メートルなどどの単位で課金されるかを確認します。
ドレスやスーツのハンガー保管は畳み保管より単価が高くなるため、SKU構成比で実効コストを試算します。
温湿度管理や検針エリアなどの専用区画料金が発生する場合は、面積と期間の見込みを含めて見積もります。
作業単価(入庫・検品・流通加工)
入庫検品の単価は全数検品かサンプリングかで大きく変わります。
値札付け替え、下げ札、袋入れ、プレスなどの流通加工は作業種別と基準時間で課金されるため、代表SKUでのテスト見積もりが有効です。
月次の無料枠やバンドル割引の条件を明確にし、繁忙期の増員や残業割増の扱いも事前に確認します。
配送コスト(運賃・サイズ重量・オプション)
運賃はキャリア別のサイズ重量規定と燃料サーチャージの連動で実効単価が変動します。
同梱やギフト、時間帯指定、置き配などのオプション料金がどの程度発生するかを受注実績で試算します。
離島や海外向けの追加料金、再配達や住所不備の再出荷費用も漏れなく見積に入れます。
返品・逆物流の費用(再販化・廃棄・再梱包)
返品受付から検品、状態ランク付け、再販可否判定、再袋入れやプレスの費用を工程別に把握します。
再販不可品の廃棄費やリサイクル費、写真記録や証跡保管の有無による追加費を確認します。
チャネル別の返品率を仮置きして、逆物流コストを月次の損益に織り込むとギャップが出にくくなります。
柔軟性とサポート体制
アパレル物流代行では需要変動や施策変更に即応できる柔軟性と、現場を支えるサポート体制が安定運用の鍵になります。
以下の5項目を基準に評価すると、日々の運用から繁忙期まで安心して任せられるパートナーを見極められます。
繁忙期のスケール対応力
セールや新作投入など出荷が急増する時期に、増員や延長稼働で処理量をどこまで伸ばせるかを確認します。
増産時の入庫ピークにも耐えられる受け入れ枠や、他拠点ヘルプの体制があると安心です。
SLAを崩さずに処理能力を何倍まで拡張できるかの実績が示されているとなお良いです。
例外処理と運用変更への即応性
急な同梱施策やギフト仕様の変更、ラベル様式の切り替えなどにどれだけ早く対応できるかが重要です。
標準作業書の更新フローやテスト本番切替の手順が整っていると、現場の混乱を最小化できます。
小ロットのスポット作業を短納期で受けられる柔軟性も評価ポイントです。
コミュニケーション体制と窓口の一貫性
専任のアカウント担当やスーパーバイザーが配置され、定例ミーティングで課題と改善を共有できるかを確認します。
問い合わせのSLA、緊急連絡のエスカレーション経路、休日対応の可否が明確だと運用が安定します。
現場と事務方の窓口が分断されない一貫窓口であることも重要です。
トラブル対応とリスク管理
誤出荷や欠品、配送事故などの発生時に、一次報告から恒久対策までの対応手順が整備されているかを見ます。
原因分析の再発防止策を文書化し、ナレッジとして蓄積する運用だと改善が定着します。
BCPや災害時の代替拠点稼働計画があるとレジリエンスが高まります。
改善提案とデータに基づくPDCA
出荷リードタイムや誤出荷率、返品再販率などのKPIを共有し、月次で改善提案を出せるかがポイントです。
現場観点だけでなく在庫政策やSKU設計まで踏み込んだ提案があると、コストと体験の両面で効果が出ます。
施策実行後の効果検証レポートまで一連で回せると継続的な成果につながります。
倉庫の立地
アパレル物流代行を選ぶ際は、倉庫の立地が配送速度や送料、運用の安定性に直結します。
下記のように消費地への近さだけでなく、キャリア網や人材、災害リスクまで総合的に評価することが重要です。
配送リードタイムと送料の最適化
主要顧客エリアへの翌日配達比率が高い立地かを確認します。
消費地に近いほど配送は速くなりますが、家賃や人件費が上がるため総コストで比較することが大切です。
店舗補充やB2B出荷が多い場合は納品先までの距離と道路事情も加味します。
消費地近接かハブ立地かの戦略
首都圏や関西圏などの消費地近接はスピードに優れます。
一方で内陸ハブや幹線IC付近は広域配送に強く、全国一律のサービス設計がしやすい利点があります。
自社の受注分布やセール時の波動に合わせて最適な立地戦略を選びます。
キャリアハブ・集荷ネットワークへのアクセス
宅配各社のターミナルや仕分け拠点、路線便のデポへの距離は集荷締切と運賃に影響します。
複数キャリアが遅い締切で集荷できる立地だと当日出荷のキャパが増えます。
大型セール時の臨時増便やトラックバースの可用性も確認します。
労働力とインフラの確保
通勤アクセスが良く採用しやすいエリアは繁忙期の増員が安定します。
周辺の道路規制、近隣への騒音配慮、24時間稼働可否、トラックの待機スペースなど運用インフラも重要です。
夜間帯の公共交通やマイカー通勤可否も生産性に影響します。
BCPとマルチ拠点の冗長性
洪水や地震などのハザードマップを踏まえたリスク評価を行います。
別地域に代替拠点を持つか、近隣で一時避難保管が可能かなど復旧シナリオがあると安心です。
重要顧客向けは分散在庫やスプリット出荷を設計できる立地が望ましいです。
D2Cブランドにおすすめのアパレル物流代行
D2Cブランドの成長を支えるには、スタートアップから安心して利用できる物流代行が重要です。注目すべき会社を紹介します。
- mylogi株式会社
- ウルロジ
それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
mylogi株式会社
D2Cブランドの成長を強力にサポートするのが当社「mylogi株式会社」のアパレル物流代行サービスです。
スタートアップや個人事業主、フリーランスの方でも気軽に利用でき、1日1件の出荷から大量出荷まで柔軟に対応可能。多品種小ロットの商品管理や複雑な梱包、同梱物対応もプロの手で安心して任せられます。
さらに、自社開発のWMS「mylogi」を導入することで在庫管理や受注処理がスムーズになり、誤出荷防止や業務効率化を実現。EC運営のノウハウを活かした支援も提供しているため、物流面だけでなく売上拡大のパートナーとしても心強い存在です。
\物流代行に関する無料相談は/
ウルロジ
D2Cブランドの成長を支える物流代行サービスとして「ウルロジ」がおすすめです。
全国一律300円から発送可能で、導入企業の継続率は驚異の98.2%を誇ります。
入庫から在庫管理、梱包・発送まで物流業務を一括で委託でき、約20種のECカートや自社システムとのAPI連携にも対応。最新の自動化設備と柔軟な運用体制により、ミスの少ない高品質な物流を実現します。
大手におすすめのアパレル物流代行
大規模な事業展開には、全国対応や高い精度を持つ物流代行が欠かせません。ここでは信頼できる企業を紹介します。
- 日立物流
- 株式会社スクロール360
それぞれの強みを解説していきます。
日立物流
日立物流は、長年にわたり大手企業向けに高品質な3PLサービスを提供してきた業界のリーディングカンパニーです。
調達・生産・販売・アフターサービスに至るまで、サプライチェーン全体を包括的にサポートし、効率化とコスト最適化を実現します。
国内外に広がる拠点ネットワークを活かし、グローバル展開を視野に入れた物流戦略にも柔軟に対応。さらに、最新のITや物流センター管理システム(WMS)を活用し、在庫や受発注の可視化を可能にします。
株式会社スクロール360
大手アパレル企業の成長を支援する物流代行なら、スクロール360がおすすめです。
創業80年以上の通販ノウハウを活かし、全国4拠点から安定した物流体制をご提供いたします。繁忙期の急な注文増にも即日対応が可能で、誤出荷率0.0016%以下という高品質を誇ります。
在庫管理から出荷まで一元管理できるシステムに加え、撮影や採寸、裾直しなどの付加加工、CRM連携によるリピーター施策までトータルでサポートいたします。
実店舗併用型におすすめのアパレル物流代行
ECと店舗を同時に運営する場合は、在庫一元管理や店舗連携に強い物流代行が必要です。代表的な会社を紹介します。
- 富士ロジテック
- 株式会社オーティーエス
それぞれの特徴を見ていきます。
富士ロジテック
実店舗併用型のアパレル運営に最適な富士ロジテックは、ECと店頭をつなぐOMOフルフィルメントを全国11拠点で提供しています。
BOPISやBORIS、店間・店舗発送、サブスクリプション対応まで一気通貫でサポートいたします。さらに、OMSやWMSとのAPI連携により在庫を一元化し、スピード出荷や正確な返品・交換、リバース物流を実現いたします。
顧客体験(CX)とオペレーションを同時に強化し、売上機会の取りこぼしを防ぎます。多ブランドやマルチチャネルにも柔軟に対応でき、スタートアップから成長期まで最適な料金プランでスムーズに移行していただけます。
株式会社オーティーエス
株式会社オーティーエスは、アパレル・ジュエリー・ECを中心とした専門物流サービスを展開し、実店舗とECの両軸で事業を展開される企業様に最適なパートナーです。
入荷から保管、出荷までの基本業務に加え、流通加工・修理・品質管理・撮影・刺繍など多彩なオプションサービスを取り揃えており、ブランドごとのニーズに応じたオーダーメイドの物流体制を構築できます。
百貨店やアウトレットなど多様な納品先に対応可能なノウハウを持ち、在庫一元管理や特殊梱包にも柔軟に対応。ファッション専門物流ならではの細やかなサポートで、販売機会の最大化を実現いたします。
越境ECにおすすめのアパレル物流代行
海外販売を成功させるには、通関や国際配送のノウハウを持つ物流代行が欠かせません。ここではおすすめ企業を紹介します。
- 株式会社ロケーションズ
- BeeCruise株式会社
それぞれの取り組みを解説していきます。
株式会社ロケーションズ
株式会社ロケーションズは、120ヶ国以上に対応した海外EC発送代行サービスを提供しており、越境EC事業を展開する企業様に最適な物流パートナーです。
インボイス作成や海外伝票の発行、専用の梱包までを一括してサポートし、複雑に思われがちな海外出荷をスムーズに実現します。
商品1点からの対応が可能で、EMSや国際小包、クーリエなど多彩な配送方法を用意。さらに、会員制度を導入しており、システム投資不要で簡単に導入できる点も大きな魅力です。
BeeCruise株式会社
BeeCruise株式会社は、BEENOSグループの一員として越境EC・海外展開を強力にサポートする物流代行サービスを提供しています。
国際配送代行に特化し、EC事業者様が倉庫作業や出荷業務をすべてアウトソースできる体制を整えています。
月1件から利用可能な柔軟なサービス設計で、初期費用や固定費をかけずに導入できるのも大きな魅力です。
豊富な輸送実績をもとに最適な配送手段を提案し、BtoC・BtoBを問わず幅広い輸送ニーズに対応。海外消費者への販売はもちろん、クラウドファンディングや温度管理が必要な食品輸送など、多様な事例を通じて実績を積み重ねています。
アパレル物流代行の利用にかかる費用
アパレル物流代行を導入する際には、さまざまな費用が発生します。主な項目を整理して確認しましょう。
- 初期費用
- 保管料
- 入庫作業料
- 出荷作業料
- 配送料
- 流通加工費(オプション)
- 返品処理費
- システム利用料
それぞれの内容を詳しく解説します。
初期費用
💰 初期費用の相場
5万〜30万円前後
規模によっては50万円以上になる場合も
アパレル物流代行を導入する際には、多くの場合「初期費用」が必要になります。この費用には、倉庫システムとの連携やマスタデータ登録、SKUごとの採番やバーコード設計、梱包資材の準備、さらには入庫対応や導入に向けたディレクションといった業務が含まれます。
ブランドの規模が大きくSKU数が多い場合は、準備にかかる作業が複雑化しやすく、費用が上がる傾向にあります。一方、標準的なシステム連携を活用できるケースや、一部の工程を自社で担当できる場合には、初期費用を抑えられる可能性もあります。
見積もりを依頼する際は、対象SKU数・入庫ボリューム・システム連携方式・テスト作業内容などを具体的に提示し、成果物や範囲を文書化することが大切です。これにより、後から追加費用が発生するリスクを軽減できます。
初期費用は単なるコストではなく、誤出荷の防止や業務効率化、リードタイム短縮といった効果を得るための投資と考えるのがおすすめです。事前に相場感を把握し、自社に適した条件で契約を進めることで、長期的なコストパフォーマンスを高めることができるでしょう。
保管料
📦 保管料の相場
1坪あたり月5,000〜15,000円前後
在庫量により変動
アパレル物流における保管料は、倉庫スペースの利用に応じて発生する費用です。
保管スペースはSKU数や在庫回転率によって必要面積が大きく異なります。
シーズン商品やセール在庫を多く抱える時期には費用が増加する傾向にあります。
さらに、温度・湿度管理が必要な場合やブランド専用の区画を設ける場合には、追加料金が発生するケースもあります。
効率的な在庫管理を行い、適切な在庫量を維持することで保管料を最適化することができます。
入庫作業料
🏷️ 入庫作業料の相場
1点あたり10〜30円前後
検品内容で増減
入庫作業料は、商品が倉庫に到着した際に行われる検品や棚入れ作業にかかる費用です。
アパレルの場合、サイズやカラーのバリエーションが多いため、SKU単位での確認作業が必須となり、作業量が増える傾向があります。
タグ付けやバーコード貼付、資材変更などの追加オプションを依頼すると、費用はさらに上乗せされます。
精度の高い入庫検品は後工程の効率化につながるため、コストをかける価値のある工程です。
出荷作業料
📤 出荷作業料の相場
1件あたり100〜300円前後
梱包形態により変動
出荷作業料は、注文に応じてピッキング・検品・梱包を行う際に発生する費用です。
アパレル商材は折りたたみ・袋入れ・箱詰めなど、商品ごとに梱包方法が異なるため、手作業が中心となります。
さらに、ブランド特有の資材やノベルティの同梱が必要な場合は追加料金が発生します。
顧客満足度に直結する工程であるため、コストだけでなく品質面も重視すべきポイントです。
配送料
🚚 配送料の相場
1件あたり500〜1,000円前後
配送地域・サイズで変動
配送料は、商品を購入者へ届ける際に必要となる運賃です。
アパレルはサイズや重量が軽めであることが多いですが、箱の大きさや配送エリアによって費用が変わります。
特に離島や海外配送では割高になる傾向があります。
また、配送会社との契約形態や出荷件数によって単価交渉が可能な場合もあるため、物流代行業者を通じてコスト削減を図ることが有効です。
流通加工費(オプション)
🛠️ 流通加工費の相場
1点あたり20〜100円前後
内容により幅広い
流通加工費は、商品に対して追加で行う作業にかかる費用です。
具体的には、タグ付け・検針・値札替え・セット組みなどが代表例です。
シーズンごとに販促用のラベルを付け替える場合や、EC限定パッケージを用意する場合など、ブランド戦略に直結する工程として活用されます。
オプション作業は単価が安くても件数が増えると大きな負担になるため、必要な業務を精査して依頼することが重要です。
返品処理費
🔄 返品処理費の相場
1件あたり200〜500円前後
検品・再包装により変動
返品処理費は、購入者から戻ってきた商品の検品や再包装、再入庫にかかる費用です。
アパレルはサイズ違いやイメージ違いによる返品が多く、返品率が高い商材といわれています。
状態が良好なものは再販可能ですが、破損や汚損がある場合は廃棄やアウトレット対応となり、その分のコストも発生します。
返品処理はブランドの信頼性にも直結するため、迅速かつ丁寧な対応を行う体制を整えることが重要です。
システム利用料
💻 システム利用料の相場
月額5,000〜50,000円前後
機能や連携範囲で変動
システム利用料は、在庫管理システム(WMS)や受注管理システムとの連携にかかる費用です。
リアルタイムで在庫数を把握したり、ECモールや自社サイトとの受注連携を自動化することで、ヒューマンエラーを防止し、運用効率を大きく高めることができます。
利用するシステムの機能範囲やカスタマイズの有無によって料金は大きく異なりますが、長期的な運用コスト削減につながるため、多くの企業が導入しています。
アパレル物流代行導入の成功事例
物流代行を活用して成果を上げた事例を紹介します。改善のヒントを学びましょう。
- A社:在庫管理の精度向上で販売機会を逃さない
- B社:繁忙期の出荷遅延を解消し顧客満足度アップ
- C社:流通加工を任せてブランディング強化
それぞれの事例を見ていきます。
A社:在庫管理の精度向上で販売機会を逃さない
A社はECと実店舗を併用しているアパレルブランドです。
以前は在庫数のズレが頻発し、在庫切れや過剰在庫が発生していました。
物流代行を導入することでリアルタイム在庫管理が可能になり、欠品リスクを大幅に削減。結果として販売機会を逃さず、売上は前年同期比で120%に成長しました。
B社:繁忙期の出荷遅延を解消し顧客満足度アップ
B社はシーズンごとのセールで大量の注文が集中するアパレルECを運営していました。
従来は出荷が追いつかず、配送遅延によるクレームが増加。
物流代行会社に委託したことで、短期間での出荷体制を確保でき、セール時でも即日発送が可能に。顧客満足度が向上し、リピーター率が大幅に上昇しました。
C社:流通加工を任せてブランディング強化
C社はD2Cブランドとして、商品パッケージや同梱物にこだわっていました。
しかし自社で対応すると人手不足が課題に。物流代行に流通加工(ギフトラッピング、メッセージカード同梱など)を委託することで、効率的にブランド体験を提供できるように。結果としてSNSでの口コミが増加し、新規顧客獲得につながりました。
アパレル物流代行導入の失敗事例
失敗から学べることも多くあります。注意すべきポイントを事例から確認しましょう。
- A社:コスト削減を重視しすぎて品質低下
- B社:繁忙期対応力不足で納期遅延
- C社:システム連携の不備による在庫トラブル
それぞれの失敗の要因を解説します。
A社:コスト削減を重視しすぎて品質低下
A社は物流コストの削減を最優先にして代行会社を選びました。しかし、委託先は安価な代わりに作業精度が低く、誤出荷や梱包不備が頻発。顧客クレームが増加し、ブランドイメージに悪影響を及ぼしました。結果的に再委託を余儀なくされ、かえってコストと時間がかさんでしまいました。
どうすればよかったのか?
価格だけでなく、実績や品質管理体制を確認した上で委託先を選定すべきでした。特にサンプル出荷やトライアルを実施し、精度や対応力を見極めてから契約することが重要です。
B社:繁忙期対応力不足で納期遅延
B社はセールや新作発売時の注文急増に備え、物流代行を導入しました。しかし委託先のキャパシティが不十分で、繁忙期に出荷が追いつかず大幅な納期遅延が発生。顧客離れを招き、リピーター率が低下しました。事前に繁忙期の対応力を確認していなかったことが原因でした。
どうすればよかったのか?
繁忙期のシミュレーションを事前に行い、委託先に増員体制や追加倉庫の有無を確認しておく必要がありました。また、事前契約で「ピーク時対応の条件」を取り決めることも有効です。
C社:システム連携の不備による在庫トラブル
C社はECサイトと物流代行会社の在庫管理システムをうまく連携できず、在庫数の反映にタイムラグが発生。実際には欠品している商品が販売可能状態のまま受注され、キャンセルが相次ぎました。結果として顧客からの信頼を失い、売上機会も大幅に減少しました。
どうすればよかったのか?
導入前にシステム連携のテストを実施し、在庫情報がリアルタイムで反映されるかを確認すべきでした。API対応やWMSの連動性をチェックし、必要に応じてITサポート体制がある代行会社を選ぶことが望ましいです。
アパレル物流の仕事内容
アパレル物流の現場では、入庫から出荷、返品まで多様な業務があります。代表的な業務を整理しました。
- 入庫業務
- 保管・在庫管理
- 流通加工
- ピッキング・出荷業務
- 返品・交換対応
それぞれの流れを順に解説します。
入庫業務
入庫業務はサプライヤーから届く商品を正確に受け入れ、倉庫内での保管と出荷準備につなげる最初のプロセスです。
アパレルはサイズやカラーでSKUが多いため、事前調整と検品精度、データ登録の正確性が成果を左右します。
ここでは入庫業務の主な流れを3つのステップに分けて解説します。
まず行うのが「受入準備とアポイント管理」
納入予定の事前共有、トラック到着時間のアポイント、必要資材や検品レーンの確保を行います。
入庫予定データをWMSに取り込み、ASNや入庫予定リストでSKUと数量を事前照合して受け入れミスを減らします。
搬入口のバース割当や荷下ろし動線の設計により、ピーク時の待機や滞留を防止します。
次に重要なのが「検品・照合と品質確認」
外装確認、数量カウント、サイズとカラーの突合せを行い、不一致や破損、汚れを判定します。
全数検品かサンプリング検品かの基準とAQLを定め、不良品は隔離エリアへ移送し原因と写真を記録します。
検針が必要な商品の場合は金属検針機で基準に沿って処理し、合格品と要再処理品を区分します。
最後に行うのが「ラベリング・ロケーション登録と入庫確定」
バーコードやRFIDタグを発行して商品やケースに貼付し、WMSでロットやシーズンなどの属性を登録します。
ハンガー保管や畳み保管など商品の特性に合わせてロケーションを割り当て、ルールに沿って棚入れします。
入庫確定と同時に在庫が引当可能へ反映され、ECやOMSとリアルタイムに同期されることで販売機会損失を防ぎます。
保管・在庫管理
保管・在庫管理は、商品価値を損なわずに必要なときに必要な数を供給するための中核業務です。
アパレルはサイズやカラーのSKUが多く、シーズンで構成比が大きく変わるため、現場設計とデータ精度が成果を左右します。
ここでは実務で効果が高い三つの要点に絞って解説します。
まず押さえたいのが 保管方式の設計
商品特性に合わせてハンガー保管か畳み保管かを選び、型崩れやシワを防ぐレイアウトを組みます。
デリケート素材や革製品は温湿度管理や光対策が必要で、専用区画とルールを明確にします。
ロケーションはABC分析や回転率に基づいて動線短縮を図り、補充導線とピッキング導線の干渉を避けます。
次に重要なのが 在庫精度を守るオペレーション
循環棚卸を定期化し、差異の原因を作業工程まで遡って是正することで棚卸差を抑えます。
補充は最小最大在庫や安全在庫をSKU別に設定し、波動時は閾値を一時的に見直して欠品と滞留の両方を防ぎます。
ロット、シーズン、サイズの属性を入出庫で必ずトレースし、先入先出や先賞先出のルールをシステムで担保します。
最後に欠かせないのが データ可視化と異常検知
WMSとECやOMSを連携し、引当可能数、不良、検品待ちなどの在庫区分をリアルタイムで可視化します。
誤出荷率、在庫精度、欠品率、滞留日数といったKPIをダッシュボードで監視し、閾値を超えたら自動アラートを出します。
返品データやサイズ別回転の分析を在庫政策に反映し、次シーズンの発注と補充の精度を高めます。
流通加工
流通加工は入庫後の商品に付加価値を与え、販売チャネルごとの要件に適合させるための工程です。
アパレルでは表示や仕上げ、セット組みの巧拙が返品率やブランド体験に直結します。
ここでは現場で重要度の高い三つの領域に絞って解説します。
まず頻出するのが 表示加工の設計
値札や下げ札、バーコードやRFIDタグの発行と貼付、サイズシールの位置統一などを行います。
モールや卸先ごとに価格表記や原産国表示の要件が異なるため、マスタで項目を管理し誤表記を防ぎます。
既存タグの付け替えや二重貼り防止のチェックリストを用意し、代表SKUでテスト運用してから本番に展開します。
次に品質を左右するのが プレス仕上げと検針
折りジワや型崩れを整えるプレスは出荷直前の見栄えを大きく改善します。
素材や縫製仕様に応じて温度と圧力を変え、仕上がり基準を写真で共有すると再現性が高まります。
検針は量販や子供服で必須となることが多く、検出履歴と再処理フローを記録し、合格品と要再加工品をロケーションで分離します。
最後に運用効果を高めるのが セット組みとチャネル別仕様対応
ギフトセットやコーデセットの組成、ノベルティ同梱、撮影用の一時セット化などを実施します。
チャネル別に畳み寸法や袋サイズ、伝票様式、ラベリング位置が異なるため、標準作業書とテンプレートでブレをなくします。
キャンペーン期間の一時ルールもWMSの同梱条件として設定し、オペレーター依存の判断を減らしてミスを抑制します。
ピッキング・出荷業務
ピッキング・出荷業務は注文情報を正確に形にし、約束の時間までに商品を顧客へ届けるための要となるプロセスです。
アパレルはサイズやカラーでSKUが多く、注文波動も大きいため、方式選定と品質基準、システム連携の三点を固めることが成果を左右します。
ここでは実務で重要度の高い三つの要点に分けて解説します。
まず精度とスピードを左右するのが ピッキング方式と動線設計
シングルピック、マルチピック、ゾーンピック、バッチピックなどの方式を注文特性に合わせて使い分けます。
波動が大きい時期はバッチと仕分け台車を併用し、歩行距離と手待ち時間を同時に圧縮します。
ロケーションは高速回転SKUをゴールデンゾーンに集約し、サイズグレーディング順で並べることで取り違いを減らします。
スキャン必須化や指差し呼称の標準化により、色番やサイズの誤取りを抑制します。
次に顧客体験を決めるのが 梱包品質と同梱ルール
シワや型崩れを防ぐ畳み基準、緩衝材の使用量、袋や箱のサイズ選定を標準作業書で統一します。
ギフト包装、メッセージカード、納品書の有無など同梱条件をシステムで自動判定し、現場判断のばらつきをなくします。
検針済み表示、ブランドシール、サイズシールの位置をチャネル別にテンプレート化して、見た目の一貫性を確保します。
封緘前に重量検証を行い、規定重量レンジから外れた場合は自動で再検査に回します。
最後に運用の確実性を高めるのが 出荷確定と配送連携
WMSでの出荷確定と同時に追跡番号を発番し、ECやOMSへリアルタイム同期してWISMO問い合わせを減らします。
キャリア別の締切時刻に合わせて波次出荷を設計し、遅い締切のレーンへ集約して当日出荷率を最大化します。
住所不備や転送不可条件はアドレスクレンジングで事前検知し、自動アラートと修正フローで再配達コストを抑制します。
日次で誤出荷率、再配達率、リードタイムのKPIを集計し、異常値には即時エスカレーションと是正処置を実施します。
返品・交換対応
返品・交換対応は顧客体験を守りつつ在庫価値を最大化するための重要プロセスです。
アパレルはサイズやフィット感の理由で返品率が相対的に高いため、迅速で再現性のある運用設計が欠かせません。
ここでは現場での実効性が高い三つの要点に分けて説明します。
まず最初に行うのが 受付・返品承認と回収手配
返品ポリシーに基づき期間や状態条件を自動判定し、RMA番号の発行と回収ラベルの手配を行います。
注文情報とのひも付けをシステムで行い、同梱物やギフト包装の有無など必要情報を事前に共有します。
住所不備や転送不可のリスクをアドレスクレンジングで検知し、顧客へ事前案内を出して再配達コストを抑制します。
次に重要なのが 検品・状態ランク付けと再販可否判定
到着した返品は外観、臭い、汚れ、付属品の有無をチェックし、AからDなどの状態ランクを付与します。
再販可否は素材特性とチャネル基準に沿って判定し、プレスや再袋入れで良品化できる場合はリワーク指示を発行します。
検針が必要なカテゴリは再検針を実施し、不合格品は隔離ロケーションに移動して原因と写真記録を残します。
最後に欠かせないのが 再商品化・在庫戻しと顧客対応
良品化が完了した商品はバーコードまたはRFIDで在庫区分を更新し、引当可能在庫へリアルタイムで戻します。
再販不可品は廃棄またはリサイクルのフローに乗せ、証跡の保存と費用計上を正確に行います。
返金や交換のステータスは追跡番号と連動して通知し、FAQ連動の定型回答と個別対応の両輪で顧客不安を最小化します。
これらの一連の流れをKPIで可視化し、リードタイム、再販率、再処理率、原因別内訳を月次でレビューすることで、返品コストを抑えつつ満足度を高められます。
アパレル物流の特徴
アパレル物流には他の業界とは異なる特徴があります。代表的なものを見ていきましょう。
- SKU(品番)数の多さ
- シーズン性・トレンド性
- 返品率の高さ
- 保管方法の多様性
- 検品・流通加工の多さ
それぞれの特徴を詳しく解説します。
SKU(品番)数の多さ
アパレル物流の大きな特徴のひとつが、SKU(品番)数の多さです。
同じデザインの商品でも、サイズ(S・M・Lなど)やカラー(ホワイト・ブラック・ブルーなど)の展開があるため、組み合わせによって膨大なSKUが生まれます。たとえば1枚のTシャツでも、数種類以上のSKUに分かれてしまうのです。
このSKUの多さは、在庫管理の複雑さにつながります。倉庫ではサイズや色を間違えずに仕分けやピッキングを行う必要があり、正確性とスピードが強く求められます。また、アパレルは流行やシーズンごとの入れ替えが激しいため、在庫が過剰になりやすい点も大きな課題です。
そこで、多くの企業ではバーコード管理やWMS(倉庫管理システム)を導入し、SKUごとの在庫をリアルタイムで把握できる体制を整えています。これにより、多品種少量の商品を効率的に出荷できる仕組みが実現します。
つまり、SKU数の多さはアパレル物流の特徴であると同時に、業務効率化と正確性を追求する必要性を生み出しているのです。
シーズン性・トレンド性
アパレル物流のもうひとつの大きな特徴が、シーズン性・トレンド性の強さです。
アパレル商品は春夏・秋冬といった季節ごとに新しいコレクションが展開され、さらにトレンドの変化が非常に速いことから、商品のライフサイクルが短いという特性を持っています。例えば、春に人気を集めたカラーやデザインが、夏にはすでに需要を失うことも少なくありません。
このような特性は物流面にも大きな影響を与えます。短期間で大量の商品が入荷・出荷されるため、倉庫内での迅速な仕分け・在庫管理が求められます。また、売れ残りを避けるためには、需要予測の精度を高め、販売計画と連動した物流体制を構築することが不可欠です。
さらに、SNSやメディアで話題になった商品が急に注文殺到するケースも多く、柔軟な出荷体制や繁忙期対応の仕組みを持つことが競争力につながります。
つまり、シーズン性・トレンド性の高さはアパレル物流における魅力である一方、スピードと柔軟性を兼ね備えた物流オペレーションが欠かせない要因となっているのです。
返品率の高さ
アパレル業界において特に注目すべき特徴が、返品率の高さです。
試着ができないEC販売では「サイズが合わない」「イメージと違う」といった理由で返品が多発しやすく、他業種と比べても返品率が高いと言われています。たとえば、カラーや素材感の見え方が写真と異なるだけでも返品につながるケースが少なくありません。
返品が多いことは、物流現場に大きな負担をかけます。返品された商品は再検品・クリーニング・再梱包などの工程を経て、再販可能な状態に戻す作業が必要になります。この対応が遅れると在庫回転率が下がり、売上や利益に直接影響してしまいます。
また、返品処理は単なる作業ではなく、顧客満足度を左右する重要なプロセスでもあります。スムーズで丁寧な対応が行われなければ、顧客からの信頼を失い、リピーターの獲得にも悪影響を及ぼします。
そのためアパレル物流では、返品処理専用の体制を整えたり、システムを活用して返品状況をリアルタイムで把握したりと、効率的かつ迅速なオペレーションが求められています。
つまり、返品率の高さはアパレル物流ならではの課題であり、正確性・スピード・顧客対応力の3つを兼ね備えた運用が不可欠となっているのです。
保管方法の多様性
アパレル物流の特徴のひとつに、保管方法の多様性があります。
アパレル商品は、Tシャツやジーンズのように畳んで箱に入れる「平置き保管」だけでなく、スーツやドレスのようにシワを避けるためにハンガーにかける「吊り下げ保管」が必要な場合もあります。さらに、バッグや帽子、シューズなどアイテムの種類が幅広く、それぞれに適した保管方法を取らなければ商品の品質を維持できません。
このように保管形態が多様であることは、倉庫運営においてスペース効率や在庫管理の難易度を高める要因となります。特にシーズンごとに入れ替わる商品や、流行の変化に伴い急増・急減する在庫に柔軟に対応する必要があります。
そのためアパレル物流では、棚保管・ラック保管・ハンガーラック保管などを組み合わせ、商品ごとに最適な方法で管理することが重要です。また、バーコードやRFIDを活用した在庫管理システムを導入することで、多様な保管方法を一元的に管理し、スムーズな入出庫を実現します。
つまり、アパレル物流では商品の特性に合わせた保管方法の工夫が欠かせず、品質維持と効率化を両立させる体制が求められているのです。
検品・流通加工の多さ
アパレル物流の現場では、検品や流通加工が非常に多いという特徴があります。
アパレル商品は生産国や工場からまとめて入荷しますが、そのまま出荷できるとは限りません。糸のほつれや汚れ、サイズ違いなどがないかを確認する入荷検品が必須となり、品質を担保する重要な工程となります。
さらに、販売チャネルに応じたタグ付け・値札付け・袋詰め・ハンガー掛けなどの加工業務が求められる点も大きな特徴です。これらは「流通加工」と呼ばれ、商品を店舗やECでそのまま販売できる状態に仕上げるために行われます。
流通加工は単なる作業にとどまらず、ブランドの価値や顧客体験に直結する重要な役割を果たします。例えば、高級ブランドでは丁寧な梱包や特別仕様のタグが求められることもあり、物流現場の対応力がブランドイメージに大きな影響を与えます。
このように、アパレル物流では検品と流通加工の多さが特徴であり、品質保持と顧客満足度を両立させるために、精度の高い作業と柔軟な対応力が欠かせないのです。
アパレル物流で起こる課題
アパレル物流では特有の課題が発生します。代表的なポイントを整理しました。
- 在庫管理の複雑さ
- 返品・交換対応の負担
- 繁忙期の出荷対応
- 流通加工によるコスト増
- 保管スペースの確保
それぞれの課題について解説していきます。
在庫管理の複雑さ
アパレル物流における最大の課題のひとつが、在庫管理の複雑さです。
同じデザインの商品でも、サイズやカラーの組み合わせによって数多くのSKUが存在します。そのため、SKUごとの在庫を正確に把握できなければ、欠品や過剰在庫が発生しやすくなります。さらに、シーズンごとに新作が登場し、入れ替えも頻繁に行われるため、常に動きの激しい在庫を管理しなければなりません。
こうした課題を解決するためには、WMS(倉庫管理システム)の導入やリアルタイムでの在庫把握が不可欠です。在庫管理の精度を高めることは、顧客満足度や売上にも直結する重要な要素といえるでしょう。
返品・交換対応の負担
アパレル業界ではEC販売の拡大により、返品・交換対応が増加している点も大きな課題です。
「サイズが合わない」「色や素材感がイメージと違う」といった理由から返品が発生しやすく、他業種と比べても返品率が高いといわれています。返品された商品は、検品・補修・再梱包といった工程を経て再販可能な状態に戻す必要があり、物流現場に大きな負担をかけます。
このような返品処理を効率的に行うには、返品専用の作業ラインや返品管理システムの導入が効果的です。顧客にとっては返品のしやすさが購買意欲に直結するため、スピードと正確性を兼ね備えた対応が不可欠となっています。
繁忙期の出荷対応
シーズン立ち上がりやセール、クリスマス商戦など、アパレル物流には年間を通じて繁忙期が存在します。
繁忙期には注文数が通常の数倍に膨れ上がり、短期間で大量の商品を正確に出荷しなければなりません。出荷遅延や誤配送は顧客満足度を下げ、ブランドイメージに直結する大きなリスクとなります。
そのため、多くの現場では臨時スタッフの増員やシフト体制の強化を行い、対応力を高めています。しかし人材確保が難しいケースも多く、システムによる自動化や作業効率化が今後ますます重要になっています。繁忙期への対応力こそが、物流品質を決定づける大きな要素といえるでしょう。
流通加工によるコスト増
アパレル商品は出荷前に流通加工が必要になるケースが多く、これが物流コスト増の要因となっています。
値札付け・タグ付け・ハンガー掛け・袋詰めなど、販売チャネルやブランドの仕様に合わせた加工業務は欠かせません。しかし、これらの作業は人手を要し、工数とコストの増大を引き起こします。特に高級ブランドでは丁寧な包装や特別仕様の対応が求められるため、現場負担はさらに大きくなります。
効率化のためには、作業ラインの標準化やアウトソーシングの活用が有効です。コストを抑えつつ品質を維持する仕組みづくりが、アパレル物流の重要な課題となっています。
保管スペースの確保
アパレル商品はアイテムごとに保管方法が異なるため、スペースの確保も大きな課題となります。
Tシャツやパンツは畳んで棚に収納できますが、スーツやドレスはシワを避けるためにハンガー保管が必要です。さらに、バッグや靴、帽子などは形状を崩さずに保管する工夫が求められます。これらを同時に管理するため、倉庫には多様な保管スペースが必要となり、スペース効率が低下しやすいのです。
この課題を解決するためには、マルチタイプの保管設備を整えたり、自動ラックシステムを導入するなど、柔軟で効率的な運用が欠かせません。限られたスペースを最大限に活用する工夫が、アパレル物流の競争力を高めるカギとなっています。
アパレル物流の繁忙期とは?
アパレル物流には注文が集中する繁忙期があります。主な時期を整理しました。
- 春夏・秋冬シーズンの立ち上がり
- セール・キャンペーン期間
- 年末年始・クリスマス商戦
- 大型連休(GW・お盆など)
- 新商品コレクションの発売時期
それぞれの特徴を詳しく見ていきます。
春夏・秋冬シーズンの立ち上がり
アパレル業界における最大の繁忙期のひとつが、春夏・秋冬のシーズン立ち上がりです。新しいコレクションが発表されるこの時期には、膨大な商品が一斉に倉庫へ入荷し、店舗やECサイトへ素早く供給する必要があります。シーズン立ち上がりは、まさにアパレル物流の正念場ともいえるタイミングです。商品ごとにサイズやカラーのバリエーションが多いため、SKU管理の複雑さが増し、仕分けや検品の正確性が特に重要となります。さらに、売れ筋商品の動きが早く、欠品を避けるための在庫コントロールも欠かせません。こうした背景から、効率的な入出庫オペレーションと在庫管理システムの整備が求められ、各物流現場は短期間で最大のパフォーマンスを発揮する必要があるのです。
セール・キャンペーン期間
夏や冬に実施されるクリアランスセール、EC限定のタイムセールやブランド独自のキャンペーン時期も、アパレル物流において大きな繁忙期です。短期間に注文が集中するため、通常時と比べて数倍の出荷量を処理しなければならないケースも珍しくありません。ここで重要なのは、正確性とスピードの両立です。誤出荷や遅延は顧客満足度の低下につながり、ブランドイメージを損ねるリスクがあります。そのため、セール時には人員体制を強化し、特別な作業フローを導入するなどの工夫が必要となります。また、在庫の動きが非常に速いため、リアルタイムの在庫更新や売れ筋商品の迅速な補充も欠かせません。セール・キャンペーンは売上を大きく伸ばすチャンスであると同時に、物流力が試される局面なのです。
年末年始・クリスマス商戦
11月から12月にかけてのクリスマス商戦と年末年始は、アパレル物流において年間最大級の繁忙期です。プレゼント需要や年末年始の初売り需要が重なり、出荷量はピークを迎えます。この時期は注文が集中するだけでなく、納期厳守がより強く求められる点が特徴です。特にギフト商品では「指定日配達」や「ラッピング対応」といった付加的な物流業務も増え、現場のオペレーションは複雑化します。さらに、配送業者の取り扱い量も増加するため、遅延リスクが高まります。こうしたリスクに備えるためには、早期の在庫確保や柔軟な配送手段の確保が不可欠です。年末年始・クリスマス商戦は、単なる繁忙期ではなく、顧客体験を左右する重要な時期として物流品質の維持が求められるのです。
大型連休(GW・お盆など)
ゴールデンウィークやお盆などの大型連休も、アパレル物流にとって欠かせない繁忙期のひとつです。旅行や帰省に合わせて新しい衣服を購入する需要が高まるほか、連休前後に集中して注文が発生しやすく、短期間で処理すべき出荷量が急増します。また、倉庫や配送業者も連休体制となるため、通常より少ないリソースで多くの業務をこなさなければならないという課題も発生します。このため、繁忙期に備えて計画的に在庫を配置し、前倒しの出荷体制を整えることが重要です。さらに、顧客にとっては「旅行前に受け取りたい」「帰省中に受け取れるようにしたい」といった要望が強く、配送スケジュールの柔軟性が求められます。大型連休は出荷作業だけでなく、配送網全体を含めた調整力が試される時期なのです。
新商品コレクションの発売時期
有名ブランドの新作コレクションや、SNSで話題となる限定アイテムの発売時期も、物流にとって重要な繁忙期です。新商品の発売は事前にプロモーションが行われるため、販売開始と同時に注文が殺到するケースが多く見られます。このような状況では、瞬発力のある物流対応が求められ、在庫のピッキングや梱包、出荷を短時間で完了させる必要があります。また、注目度の高い商品は返品や交換も増えやすく、発売後の返品処理体制も重要となります。新商品の立ち上げはブランドにとって大きなチャンスである一方、物流にとってはトラブルが許されない緊張感の高い局面です。ここで迅速かつ正確に対応できるかどうかが、顧客満足度やブランド価値を左右します。つまり、新商品コレクションの発売時期は、物流力を最も強く試される瞬間といえるでしょう。
まとめ
アパレル物流はSKUの多さやシーズン変動、返品率の高さなど独自の課題があり、適切な物流代行を選ぶことが事業成長の大きなカギとなります。実績やサービス範囲、費用体系だけでなく、システム対応や柔軟性も含めて総合的に見極めることで、自社に最適なパートナーを見つけられるはずです。本記事で紹介したポイントや事例を参考に、自社の課題や成長ステージに合った物流戦略を立て、安定した運営とブランド価値の向上につなげていきましょう。