モーダルシフトとは?効果や課題、導入企業事例について解説します。

Last Updated on 2021年9月8日 by art-mylogi

現代の日本の物流には様々な課題があります。そしてそれらの課題を解決するための様々な方法、方針がとられてきました。今回はその中でも「モーダルシフト」に関して、その意味と効果、課題、導入事例について説明します。

この記事を監修した人

藤井 玲

2002年に楽天市場へ出店したことをきっかけに、EC支援サービスの提供をスタート。
累計18年、150社以上のサイト制作、運営経験を持つ。
一部上場企業のECサイトを10年間運営した経験から、運営全般、フルフィルメントの知見が豊富。
現在は、Shopify Expert Partnerとして、ECサイトの新規出店支援はもちろん、
売上改善や業務改善などのコンサルティングを手掛けている。

モーダルシフトとは

モーダルシフトはトラックなどによって行われている自動車輸送を鉄道や船舶を使った輸送に切り替えることです。モーダル(modal)とは、英語で様式や様態を意味する言葉です。

トラックなどによる自動車輸送の環境負荷が大きいことから、環境負荷の小さい輸送手段に切り替えることを、国土交通省が推奨しています。

今まで工場から直接トラックで直接納品先へと運んでいた貨物を、転換拠点で輸送手段を鉄道や船舶に切り替えます。もともとは環境負荷削減のための取り組みでしたが、トラックドライバーの不足などの人的問題の解決にもつながるとして、注目を集めています。

また、EC業界の拡大により貨物輸送量が拡大し続けており、大きな輸送力のある鉄道や船舶による輸送への転換は重要度を増しています。

モーダルシフトの効果

モーダルシフトによる効果は本来の目的だった環境負荷の削減以外にも多くあります。

CO₂排出量の削減

1トンの貨物を1km運ぶ(=1トンキロ)ときに排出されるCO2の量をみると、トラック(営業用貨物車)が233gであるのに対し、鉄道は22g(約1/11)、船舶は39g(約1/6)しかありません。つまり、鉄道や船舶を輸送に使用することで大幅なCO₂排出量の削減が可能になります。

一度に大量の輸送が可能になる

鉄道や船舶による輸送はトラックに比べ、一度に多量の貨物を輸送することができます。大規模な輸送を行う際はコストカットにつながることが多いです。

輸送量に対して必要な人数を削減できる

トラックの輸送は基本的にトラック一台につき2人~3人が必要ですが、鉄道や船舶による輸送であれば、重量比で大幅に必要な人員を減らすことができます。ドライバーの不足は物流業界の大きな課題ですが、その対策としてモーダルシフトがあります。

長距離輸送の際にコストの削減になる

短距離の輸送の場合はトラックだけで輸送する場合の方がコストがかかりませんが、500~600㎞を超える長距離輸送の場合は、モーダルシフトにより輸送にかかるコストを削減できることが多いです。

国からの補助金が給付される

国土交通省は物流分野における労働力不足や環境負荷の低減を図るために、モーダルシフト等の取り組みを支援する「モーダルシフト等推進事業費補助金」の募集を行っています。申請の方法や条件は下記をご覧下さい。

参照:国土交通省 モーダルシフト等推進事業

渋滞の緩和

トラックによる輸送は道路交通の混雑の原因の一つです。これを鉄道の輸送に切り替えることによって交通渋滞を緩和させます。また、鉄道輸送であれば渋滞に巻き込まれることなく、時間通りの輸送が可能になります。

モーダルシフトの課題・デメリット

国が積極的にモーダルシフトを勧めているのにも関わらず、日本の貨物輸送における鉄道のシェアはわずか1%、対してトラックのシェアは90%を超えています。このようにモーダルシフトが停滞している理由は、以下のような課題やデメリットにあると考えられます。

小口の輸送にトラックが適している

トラックの輸送は一台単位の小口の輸送が可能であり、微妙な出荷量の調整が可能です。対して、鉄道での輸送はコンテナ単位での輸送であるため、細かい調整に不向きです。

輸送コストがかかる

トラックの輸送に比べ、鉄道や船舶による貨物輸送はコストが大きくなる場合が多いです。長距離の場合であれば鉄道の方がコストが安くなる場合もありますが、長距離輸送(500㎞以上)の割合は10%以下であり、ほとんどの場合でコストがかさむことが分かります。

輸送障害

事故や災害時に起きる輸送障害に対して弱いことは、鉄道のデメリットです。一度発生すると長期化することが多く、鉄道で迂回ルートを確保するか、代替の輸送手段を迅速に用意する必要があります。鉄道は迂回運転がトラック輸送に比べ難しく、復旧に時間がかかります。

リードタイムが伸びる

以前は納入先まで直接トラックで輸送していましたが、モーダルシフトを導入するとそうはいきません。転換拠点で積み直して、鉄道や貨物船の出発時間に合わせる必要があります。その結果、トラック輸送に比べて大幅にリードタイムが伸びてしまいます。

モーダルシフト推進のための取り組み

国土交通省を中心にモーダルシフト推進のために様々な取り組みが行われてきました。

輸送障害時の車両移動の弾力化

これまで事業用のトラックは、営業所に配置する車両数を事前に届ける必要がありました。そのため、鉄道で輸送障害が起こった際に、トラックを応援に向かわせるには届け出の変更手続きが必要であり、手間と時間がかかりました。

そこで国土交通省は30日以内に車両を元の営業所に戻す場合であれば、輸送障害時のトラックによる応援は、届け出なしで可能になるように法令を改正しました。

在庫拠点の構築

モーダルシフトの導入により、リードタイムが大幅に伸びてしまうという課題があります。この課題を解決するために在庫拠点としてVMI(Vendor Managed Inventory)センターを納入先の近くに構築しました。鉄道輸送によりそこに在庫を補充し、ストックします。

メーカーから発注があった時に、VMIセンターから出荷することでリードタイムの大幅な短縮を実現できます。また、直接輸送する場合はメーカーの希望納期に合わせるために低い積載率で輸送することもありました。しかし、VMIセンターの構築後は在庫を補充していく仕組みに変わったため、コンテナの積載率100%でVMIセンターへと輸送することができるようになりました。

モーダルシフト導入の事例

大手菓子メーカーの事例

ここでは北海道~関東と中国~九州の工場間の輸送をトラックから鉄道に切り替えました。中長距離の輸送を中心にモーダルシフトした結果、CO₂排出量の削減と物流コストのカットに成功しました。また、輸送障害が発生した場合の代替輸送手段を用意しておくことでサプライチェーンの安定を目指します。

参照:SBSロジコム 物流事例 大手菓子メーカーK社様

自動車メーカーの部品調達における事例

ここでは、各部品メーカーがそれぞれ手配したトラックで輸送されていたため、モーダルシフトが難しい状況でした。そこで、部品メーカーの工場をミルクラン方式で巡回することによって、集荷拠点を一つにまとめ、そこから鉄道輸送に切り替えるモーダルシフトを可能にしました。

これらの施策によりCO₂排出量が30%以上削減され、平成18年度のグリーン物流パートナーシップ普及事業として認定され、設備導入への補助を国から受けています。

参照:日本通運 モーダルシフト事例‐1

朝日飲料株式会社

朝日飲料は繁忙期のドライバー、車両不足が課題となっており、一度に多くの貨物を輸送できる鉄道輸送を積極的に取り入れています。長距離輸送だけではなく、中距離の輸送でも鉄道輸送を活用し、輸送力の確保を最優先にしています。

参照:日本貨物鉄道株式会社 お客様の声 朝日飲料株式会社

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は物流の課題を解決するためのモーダルシフトについて、効果や課題、導入事例を説明しました。これから、ドライバーの高齢化や労働力の不足が進み、ますます物流は厳しい状況になっていくでしょう。これからの時代に備えて、一部のコストの増加だけではなく、環境問題や労働者不足といった問題への視点を持つことが、モーダルシフト導入の際に必要になります。

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